当社が取り組んでいる、女性が働きやすい仕組みについて掲載頂きました。
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(掲載元:朝日新聞)女性の視点 働き方に新たな変革を
子育てと両立へ 業務のデジタル化提案
愛知県豊橋市の包装資材開発メーカー「アイセロ」で、月に2~3度開かれる部内会議の場だった。「いまの仕事を、デジタルにシフトしていきたいと考えています」。2019年12月、マーケティング調査を担当していた田口怜奈さん(35)は、思い切ってそう提案した。
業務のデジタル化と、働き方改革を模索していた会社にとって、田口さんの提案は時宜を得たものだった。田口さんをリーダーに企画が立ち上がった。
当時の田口さんは、働き方に悩んでいた。17年までに2人の子どもを出産。その後、職場に復帰して、2人目の子どもが3歳になるまで時短で働いた。夫は遠方に勤めていて、平日の家事・育児は全て田口さんの役割だった。
出産前のように、出張や時間外労働がある外回り中心の仕事は難しい。家での育児や家事に加え、1カ月に1、2回は子どもの発熱で会社を早退することもある。責任の伴う仕事には、なかなか携われない。自宅やオフィスでできるデスクワークが中心となった。
やりがいを持ちつつ、育児・家事をしながら働ける方法はないか――。田口さんは、ホームページやユーチューブなどを利用した商品のPR方法を考え、会社に説明を繰り返した。その結果、今年1月に、開発商品のPR動画がユーチューブで公開された。
新型コロナウイルス感染拡大の影響も相まって、会社はその後もデジタルを活用した業務内容にシフトしている。「仕事を諦めるのではなく、状況に応じて働き方や業務内容を変えていく」。自らが示した働き方を、会社に浸透させていきたいと、田口さんは意気込んでいる。
仕事を複数人で対応 勤務対応を柔軟に
女性が働きやすい仕組みを、企業側が提供する場合もある。
同県蒲郡市にあるレンタルドレス会社「ミスコンシャス」。
従業員18人のうち13人が、子育て中の女性だ。社内にはキッズルームを設置。子どもが急に熱を出すなどして休んでも、心苦しく思わないように、一つの仕事を複数人で受け持つ。正社員やパート、時短勤務などの選択も、社員の希望に応じ柔軟に対応する。残業はほとんどない。
社長の小山絵実さん(38)も8歳と1歳の子どもを持つ。ただ、「積極的に子育てしている女性を採用しているわけではない」と話す。
長く働けること、優秀なこと、年齢など、採用時に何を重視するかを考え、優秀さを重視した結果だという。すべての人がフルタイムで働けるわけではない。家族の時間を大切にしたい人もいる。求める人材に時間的制約があるなら、その時間を調整すればいい。「一緒に働きたいと思う人を選んだら、こういう会社になったんです」
近年、欧州などの研究開発の現場で、男女の性差分析を取り込んで新たな視点を見いだし、イノベーション(変革)を創出する「ジェンダード・イノベーション(GI)」の重要性が広まりつつある。たとえば、成人男性を基本に設計された車のシートベルトは、女性に対する安全性が劣ると指摘されてきた。最近ではGIの観点から、妊婦など様々な体形の人を考慮した開発も進められている。
名古屋工業大ダイバーシティ推進センターの加野泉特任准教授は、GIの意義を「女性の視点が加われば、女性の知識や経験に価値が置かれるようになり、新たなイノベーションを生む」と指摘。そのうえで「ビジネスの現場では、誰もが働きやすい環境を作り出すことができ、高齢者・障害者の働きやすさにもつながる」と話した。
(松山紫乃、山本知佳)